コラム

心が散らかったまま動けないあなたへ:専門家がたどり着いた「人生を整理する」具体的な方法

saochil

現役ナースで、公認心理師のさおちるです。

「頭の中がごちゃごちゃしていて、なかなか物事を決められない」。

「やるべきことだとわかっているのに、いつも先延ばしにしてしまう」。

「周囲からは頑張っていると言われるけれど、ケアレスミスや片付けられないことで、自己肯定感がどんどん削られていく」。

もしあなたがこのような、「わかっているのにできない」という慢性的な葛藤を抱え、自分自身を責めているなら、それは決して「あなたの甘え」や「気のゆるみ」ではありません。その困難は、むしろあなたが真剣に人生と向き合ってきた証であり、脳の「特性(神経発達症群)」や、長年のストレスによって固まってしまった「思考の癖」が原因となっている可能性が高いのです。

今回は、長年、時間管理と意思決定の困難に向き合ってきた専門家の経験や、認知行動療法の視点から、「散らかった頭の中を整理し、前に進む力」を取り戻すためのヒントをお届けします。


1. なぜ「頑張り」が報われないのか?:隠れた特性と慢性的な悩み

キャリアを持ち、知的な能力が高い方であっても、日常生活の些細な部分でつまずき、自尊心がへこむという相談は非常に多く寄せられます。

カウンセリングの現場では、以下のような「大きくはないが、心を蝕む」悩みを抱える方が増えています。

  • 時間管理の困難:仕事には行けても、1〜2分程度の遅刻を繰り返してしまう。
  • 整理整頓の困難:部屋が汚い、金銭管理がうまくできない。
  • 慢性的な先延ばし:生活に重要なこと(子どものアルバム作成、車検の決定、論文執筆など)をずっと放置してしまう。

これらの背景には、注意欠如・多動症(ADHD)といった神経発達症群の特性が隠れていることがあります。ADHDは、不注意、多動性、衝動性の3つの症状を主な特徴とする生まれつきの精神疾患です。

この特性は、幼少期から「雑にさっとやるのが好き」で、「ケアレスミスが多い」、「マルチタスクが苦手」といった形で現れることがあります。特に女性の場合、大人になってから初めて専門医に指摘され、長年の生きづらさの原因を認識するケースも少なくありません。

こうした特性が原因の場合、それは育て方や努力の問題ではなく、脳の機能的な偏りによるものです。この事実を知ることが、自己否定のループを断ち切る第一歩となります。


2. 「混乱」を整理し、「意思決定」を可能にするアプローチ

頭の中が「とっちらかっていて混乱し、決めないままモヤモヤしている」状態こそが、行動を阻害する最大の要因です。この混乱を整理し、具体的な行動に移すために有効なのが、認知行動療法(CBT)をベースとした実践的なアプローチです。

認知行動療法は、単に話を聞くだけでなく、あなたの「考え方(認知)」や「行動パターン」に光を当て、心を軽くするための科学的な根拠に基づいたトレーニングです。

混乱に陥りやすい特性を理解する

特性を持つ方は、以下のような課題を抱えやすい傾向があります。

  • 不注意に関連する困難:細かいことを見過ごす(ケアレスミスが多い)、物事を順序立てることや整理整頓ができない。
  • 多動性・衝動性に関連する困難:質問が終わる前に答えてしまう、順番を待つことが難しい。

しかし、これらのネガティブに捉えられがちな特性も、「切り替えが早い」や「すばやく反応できる」といったポジティブな側面に捉え直すことが可能です。この視点の転換は、自己肯定感を育む上で非常に重要です。


3. 特性を活かし、人生の効率を上げる「システム化」

特性を持つ方が社会で活躍するためには、自分なりの「戦略」が必要です。これは、自分自身の得意・不得意を見極め、生活や仕事のシステム化を徹底することに繋がります。

【実践的なシステム化のヒント】

  • 優先順位の「割り切り」:全てを完璧にこなすことを目指さず、時期によって最も重要なタスク(例:研究やキャリア)を最優先し、それ以外のタスク(例:自炊や家事)については「栄養素が取れればOK」といった形で基準を緩める「割り切り」が、エネルギーの浪費を防ぎます。
  • 外部リソースの活用:配偶者や家族の手、地域のサービス(保育園、学童、ベビーシッターなど)を「フル活用」することは、罪悪感を感じる必要のない重要な戦略です。他者に頼ることで、子どもの習い事の発見など、予期せぬ良い結果を生むこともあります。
  • 多動力・集中力の活用:一度集中力が発揮されると、数日で多くの成果物(例えば、原稿)を一気に書き上げるといった、驚異的な生産性につながることがあります。この「多動力と集中力」を活かせる環境を意図的に作ることが成功の鍵です。
  • 具体的な時間管理:忘れ物や準備の遅れを防ぐため、朝の準備やタスクに対して具体的な時間管理の仕組みを導入し、子どもにもそのスキルを身につけさせることで、家庭全体がスムーズに回ります。

4. あなたの「立ち直る力」を引き出すために

心の不調や慢性的な生きづらさは、誰にでも起こりうることです。特に、真面目さや責任感の強さといった、一見ポジティブな気質が、ストレスを溜め込みやすい要因となることも知られています。

このカウンセリングルームでは、現役の看護師であり、心の専門家である公認心理師として、あなたの「こころ」と「からだ」の繋がりを理解しながら、サポートを提供します

お薬だけに頼るのではなく、あなたの心の負担となっている「考え方の癖」や「行動パターン」を見つめ直し、具体的な対処法や社会生活に必要なスキルを身につけるお手伝いをいたします。

あなたの中にある「立ち直る力」を引き出し、特性を強みとして活かし、自分らしい人生を送るための第一歩を、私たちと一緒に踏み出してみませんか。

ご相談は、公式LINEよりお気軽にお問い合わせください。

ABOUT ME
さおちる
さおちる
ナース
はじめまして。 現役ナースで、公認心理師の「さおちる」です。 誰にも言えない「こころの不調」を、一人で抱えていませんか? 私は12年間、看護師としてたくさんの心と体に向き合ってきました。 その経験から確信していることがあります。 それは、精神科は「こわい場所」ではなく「成長が詰まった環境」だということ。 そして、お薬を飲む前に「カウンセリングで自分と向き合う時間」が、回復への大きな力になるということです。 こころの不調は、誰にでも起こりうること。特別なことではありません。 このサイトでは、看護師と公認心理師、2つの視点から、あなたの「立ち直る力」を引き出すお手伝いをします。 認知行動療法をベースに、具体的な予防法やケアのヒントをお伝えしていきます。 もう一人で悩まないでください。 ここが、あなたの心を軽くする、最初のステップになることを願っています。
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