コラム

あなたは大丈夫?うつ病のサインと早期発見の重要性

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「最近、なんだか気分が晴れない」「以前のように楽しめない」と感じることはありませんか? 日常生活の中で気分が落ち込むことは誰にでもありますが、その状態が長く続いたり、身体にも影響が出たりしている場合は、もしかしたらうつ病かもしれません。

うつ病は、精神的な症状だけでなく、身体的な不調も伴うことのある病気です。しかし、適切な知識と対処法を知ることで、回復への道が開けます。


「うつ病」ってどんな病気?:気分と病気の違い

日常生活で憂鬱になったり、気分が落ち込んだりすることは誰にでもある自然な感情の波です。人間関係の悩み、仕事や受験での失敗、大切な人との別れなど、悲しい出来事があれば、落ち込むのは当然のこと。これらの感情は、原因が解決したり、気分転換をしたり、時間が経つにつれて徐々に癒えていくものです。

しかし、うつ病の場合、明確な原因が思い当たらないにもかかわらず気分が回復しなかったり、たとえ原因が解決しても、仕事や学校に行けなくなったり、動くことさえ億劫になったりするなど、日常生活に大きな支障が生じます。このような状態が続く場合、治療が必要となる**「病気」**として捉える必要があります。

うつ病は、気分障害の一つに分類され、主に気分が強く落ち込み、やる気が出ないといった「うつ状態」が継続することが特徴です。双極性障害(躁うつ病)のように躁状態と混在することはありません。

うつ病は決して珍しい病気ではありません

厚生労働省の調査によると、日本ではおよそ100万人の方が気分障害(双極性障害を含む)を経験しており、女性は男性より1.6倍多いとされています。さらに、生涯で約15人に1人がうつ病を経験するというデータもあり、誰にでもかかる可能性のある、決して珍しい病気ではないことがわかります。

うつ病になりやすい気質と引き起こすきっかけ

うつ病がなぜ、どのように発症するのかは完全に解明されていませんが、感情や意欲を司る脳の働きに何らかのトラブルが起きていると考えられています。脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミン)のバランスの乱れが関係している可能性も指摘されています。

また、うつ病には、なりやすい気質(性格)と、発症のきっかけとなるストレスが組み合わさることで引き起こされると考えられています。

うつ病になりやすい気質としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 生真面目
  • 完璧主義
  • 自分に厳しい
  • 凝り性
  • 周囲に気を遣いすぎる

これらの性格傾向は、ストレスを受けやすい側面を持っていると言えるでしょう。

うつ病を引き起こすきっかけとなるストレスは、悲しい出来事だけではありません。

  • 学校や職場でのいじめ、受験や仕事での失敗
  • 失恋、離婚、家族や親しい友人との死別
  • 結婚、妊娠・出産、昇進・栄転、進学・就職、新築、引っ越しなどの喜ばしい出来事

このように、環境が大きく変化することは、それがポジティブな変化であっても心に負担をかけ、うつ病発症の引き金となる可能性があります。


もしかしたら、うつ病のサイン?セルフチェックで確認してみましょう

「自分は大丈夫かな?」と感じたら、まずはご自身の状態を客観的に見てみることが大切です。この簡易スクリーニングテストは、軽症のうつ病を発見する手がかりの一つとしてご利用ください。あまり深く考えずに、直感でお答えください。

以下の質問項目について、ご自身に当てはまるものにチェックを入れてみましょう。

  1. 身体がだるく疲れやすいですか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  2. 騒音が気になりますか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  3. 最近気が沈んだり気が重くなることがありますか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  4. 音楽を聞いて楽しいですか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  5. 朝のうち特に無気力ですか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  6. 議論に熱中できますか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  7. 首筋や肩がこって仕方がないですか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  8. 頭痛持ちですか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  9. 眠れないで朝早く目覚めることがありますか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  10. 事故やけがをしやすいですか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  11. 食事が進まず味がないですか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  12. テレビを見て楽しいですか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  13. 息がつまって胸苦しくなることがありますか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  14. のどの奥に物がつかえている感じがしますか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  15. 自分の人生がつまらなく感じますか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  16. 仕事の能率があがらず何をするのもおっくうですか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  17. 以前にも現在と似た症状がありましたか?
    いいえ/時々/しばしば/常に
  18. 本来は仕事熱心で几帳面ですか?
    いいえ/時々/しばしば/常に

【セルフチェックの結果について】

上記のチェック項目で、例えば「常に」や「しばしば」が複数該当し、それが2週間以上、ほとんど毎日続いている、あるいは日常生活に支障が出ていると感じる場合は、うつ病の可能性があります。このテストはあくまで簡易的なものであり、診断を確定するものではありませんが、ご自身の状態を把握するための一つの目安としてください。

もし「もしかしたら…」と感じたら、一人で悩まずに、専門家へ相談することが大切です。

どこに相談すればいい?

うつ病の疑いがある場合、まずは以下の専門機関への相談を検討しましょう。

  • 総合病院の精神科や心療内科
  • 精神科のクリニック
  • かかりつけの内科医(必要に応じて専門医を紹介してくれる場合があります)
  • 保健所精神保健福祉センターの相談窓口

早めに専門家とつながり、適切な休養と治療を始めることが、うつ病を乗り越えるための重要な第一歩です。

当カウンセリングルームでは、現役の看護師であり公認心理師である私が、あなたの心の状態に寄り添い、カウンセリングを通して、心の負担を軽くし、あなたらしい回復へのサポートをさせていただきます。

何か気になることや、ご自身の状態について聞いてみたいことがあれば、どうぞお気軽にご連絡ください。

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さおちる
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