コラム

現役看護師の公認心理師が解説!看護師の燃え尽き症候群(バーンアウト)「辞めたい」気持ちに寄り添うカウンセリング

saochil

「看護師、辞めたい…」

この言葉を口にするたび、罪悪感や情けなさを感じる方もいるかもしれません。でも、安心してください。あなたは決して一人ではありません。看護師の8割以上が「辞めたい」と感じた経験があるというアンケート結果もあるほど、この思いは多くの看護師さんが抱える「本音」なのです。

かくいう私も、現役看護師として、そして公認心理師として、皆さんのその切実な気持ちに深く寄り添いたいと考えています。この「辞めたい」という声の裏には、もしかしたら「燃え尽き症候群(バーンアウト)」が隠れているかもしれません。


あなたの「辞めたい」は、心が燃え尽きかけているサインかも

看護師という仕事は、まさに「命と向き合う」尊い仕事です。その一方で、想像を絶するほどのプレッシャーや責任、過酷な労働環境にさらされています。皆さんの「辞めたい」という声の背景には、以下のような具体的な悩みが潜んでいることが、多くのアンケートや体験談から明らかになっています。

  • 終わらない業務量と残業、夜勤の負担
    • 「仕事が忙しすぎて、精神的にも肉体的にも限界を感じる」
    • 「夜勤は寿命が縮むってよく聞くけど、30歳すぎてきついし辛い」
  • 人間関係のギスギスやハラスメント
    • 「患者の顔色を見るより、スタッフの顔色を見て毎日仕事している」
    • 「人間関係…パワハラやイジメ。本当にツラい」
  • 医療ミスへの不安や責任の重圧
    • 「仕事でミスしたり、患者さんや同僚に迷惑かけたりして、看護師向いてないなって思ったとき、辞めたい」
    • 「命の重さ、責任感・プレッシャーに負けそうなとき」
  • 仕事内容に見合わないと感じる給与や待遇
    • 「日勤だけだと手取り20万円前後の世界で、命預かるなんてたまったもんじゃない」
  • プライベートとの両立の難しさ
    • 30代、40代になると、出産や育児、親の介護など、ライフステージの変化と共に「今の働き方では無理」と感じる方も少なくありません。

これらの状況は、気づかないうちに心のエネルギーを少しずつ削り取り、やがて「燃え尽き症候群(バーンアウト)」へと繋がっていきます。心身が限界を迎えているサインに気づかず無理を続けると、以下のような症状が現れることもあります。

  • 気分が沈む、憂うつ
  • 何をするのにも元気が出ない
  • イライラする、怒りっぽい
  • 理由もないのに不安になる
  • 胸がドキドキする、息苦しい
  • 食欲がない、眠れない

もし、一つでも当てはまる症状があるなら、それはあなたの心が「もう限界だ」とSOSを発しているサインです。決してあなたの弱さではありません。


「辞めたい」のは、看護師が向いてないから?それとも今の環境が辛いから?

多くの看護師さんが「辞めたい」と感じたときに、「自分は看護師に向いていないのでは」と考えてしまいます。しかし、アンケートによると、「看護師そのものを辞めたい」というより「今の職場や環境を辞めたい」と感じている方が多数を占めます。

「看護は好きだけど、それ以外のたくさんのことが積み重なって息切れしてしまう」という声は、まさしくその本質を捉えています。看護師の仕事自体は好きでも、劣悪な職場環境、ハラスメントの横行、過度な労働条件などが、あなたの心を疲れさせている可能性があるのです。


燃え尽き症候群(バーンアウト)を乗り越える「カウンセリング」という選択肢

では、この「辞めたい」気持ちや燃え尽き症候群にどう向き合えばいいのでしょうか?

多くの方はまず、一人で解決しようとしたり、同僚や友人に相談したりするでしょう。もちろん、それらも大切な対処法です。しかし、根本的な解決に至らない場合や、心身の不調が続いている場合は、専門家によるカウンセリングが新たな一歩となる可能性があります。

「カウンセリングって具体的に何をするの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。私が提供するカウンセリングでは、特に「認知行動療法(CBT)」という心理療法をベースに、あなたの「辞めたい」気持ちに深く寄り添います。

認知行動療法(CBT)とは?

認知行動療法は、ストレスなどで固まって狭くなってしまった「考え方(認知)」や「行動パターン」を、ご自身の力で柔らかくときほぐし、心のバランスを整えるお手伝いをする心理療法です。

人の気持ちや行動は、「出来事」に対して「とっさに浮かぶ考え(自動思考)」や「物事の捉え方(認知)」が大きく影響します。例えば、同僚に何か頼まれたときに、通常なら「忙しいのかな」と考えるところを、疲弊していると「自分にばかり仕事を押し付けようとしている」と悲観的に考えてしまいがちです。これが「認知のくせ」です。

この「認知のくせ」が、ネガティブな感情(悲しみ、不安)身体の反応(動悸、不眠)、そして行動(引きこもり、回避)の悪循環を生み出し、バーンアウトを加速させてしまいます。

カウンセリングで何を得られるの?

カウンセリングでは、この「認知」と「行動」に焦点を当てて、具体的なアプローチを行っていきます。

  1. 「辞めたい」気持ちの根本原因を理解する
    • あなたの「辞めたい」という気持ちが、具体的にどのような「出来事」から生じ、どのような「自動思考」や「認知のくせ」によって増幅されているのかを、私と一緒に丁寧に紐解いていきます。
  2. 心のバランスを取り戻す
    • 認知行動療法の技法である「認知再構成」を通じて、悲観的になりがちな考え方を見直したり、別の見方はできないかを一緒に探していきます。
    • また、「行動活性化」によって、日々の忙しさの中で失われがちな「小さな喜び」や「達成感」を感じる活動を生活に取り戻し、心身のエネルギーを回復させるお手伝いをします。
  3. より冷静に、前向きな行動へ
    • カウンセリングを通して、感情に振り回されずに物事を冷静に捉える力が育まれます。これにより、「転職すべきか」「今の職場で改善できることはないか」といった、あなたの未来にとって最善の選択を、焦らず主体的に考えられるようになるでしょう。

現役看護師で公認心理師だからこそできること

私自身、現役看護師として皆さんが置かれている状況や、日々の葛藤を肌で感じています。その上で、公認心理師として心理学の専門知識とカウンセリングスキルを身につけました。

「看護の現場は特殊だから、なかなか理解してもらえない」

「心の専門家に相談したいけど、看護師の事情をわかってくれるか不安」

そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現役看護師としての経験があるからこそ、皆さんの言葉にならない辛さ、現場特有の人間関係やプレッシャーを深く理解し、寄り添うことができます。公認心理師としての知識を組み合わせることで、心身両面からあなたの燃え尽きからの回復、そしてより良い看護師人生を歩むためのサポートをさせていただきます。


一人で抱え込まず、まずは話してみませんか?

「辞めたい」という気持ちを抱えている今、あなたはとても辛い状況にいるかもしれません。無理に頑張り続ける必要はありません。それは決して弱さではなく、ご自身を大切にしようとする、心からの叫びなのです。

カウンセリングは、あなたの心を整理し、次の一歩を踏み出すための安全な場所です。あなた自身の「辞めたい」という気持ちの根源を見つめ、心を整え、主体的に次の選択をするためのサポートを提供します。

もし今、あなたが「辞めたい」という気持ちで苦しんでいるなら、一人で抱え込まずに、ぜひ一度ご相談ください。あなたの心のSOSに、私が現役看護師・公認心理師として、全力で寄り添います。

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さおちる
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精神科救急/手術室/外科/教育係
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