「再発予防」にも役立つ!認知行動療法で「生活」を「改善」し「バランス」を整える
はじめに
「認知行動療法(CBT)」という言葉を聞いたことがありますか?
「聞いたことはあるけど、なんだか難しそう」と感じている方もいるかもしれません。この心理療法は、うつ病から回復した後の再発予防にも役立つことが科学的に証明されており、あなたの心と体のバランスを整えるのにとても有効です。
今回は、認知行動療法がどのようなもので、なぜ再発予防に効果的なのかを、研究論文の知見も交えながら分かりやすく解説します。
認知行動療法(CBT)とは?
認知行動療法は、ストレスによって固まってしまった「考え方」や「行動パターン」を、柔軟にほぐしていく心理療法です。
「認知」(物事の考え方、受け止め方)
「感情」(悲しい、不安、イライラする)
「身体」(動悸、腹痛、だるさ)
「行動」(引きこもる、何も手につかない)
私たちは、ストレスを感じるとこの4つの側面が互いに影響し合い、悪循環に陥ることがよくあります。例えば、「同僚に挨拶したのに返事がなかった」という出来事に対して、「自分は嫌われているんだ」と悲観的に考え(認知)、落ち込み(感情)、家に閉じこもる(行動)といったパターンです。
認知行動療法では、この中で「認知」と「行動」に焦点を当てます。感情や身体の反応を直接コントロールするのは難しいですが、考え方や行動は自分の意志で変えやすい側面だからです。「ひょっとしたら聞こえなかっただけかも?」と違う考え方をしてみたり、「気分が乗らないけど、まずは散歩に出てみよう」と行動を変えてみたりすることで、悪循環を断ち切り、気分を楽にすることを目指します。
なぜ再発予防に役立つの?
インプットした複数の研究論文によると、うつ病の再発予防において、認知行動療法が特に有効であることが明らかになっています。
- あるメタアナリシスの結果では、認知行動療法、マインドフルネス、対人関係療法といった心理療法が、12ヵ月後のうつ病再発率を22%減少させる効果があることが示されました。
- 中でも、認知行動療法は、その効果が24ヵ月後も持続することが確認されています。
これは、認知行動療法によって、ストレスへの対処スキルが身につくためです。自分の「認知の歪み」や「行動パターン」に気づき、それを柔軟に調整する力を身につけることで、つらい出来事に直面した際にも悪循環に陥りにくくなります。このスキルは、薬物療法とは異なり、治療を終えた後もずっと持ち続けることができるため、持続的な再発予防につながると考えられています。
また、認知行動療法は薬物療法と併用すると、単独で治療するよりも効果が高くなるというメリットも報告されています。
毎日の生活に取り入れるヒント
認知行動療法は特別なものではなく、日常生活の中で実践できる考え方です。
- 行動活性化: 落ち込んでいるときこそ、散歩や趣味など、少しでも喜びや達成感を感じられる活動を意識的に増やしてみましょう。
- 認知再構成: 嫌な出来事があったとき、「〜に違いない」と決めつけず、「別の可能性はないかな?」と、いったん立ち止まって考えてみましょう。
「自分の性格だから仕方ない」と諦めず、ストレスとの上手な付き合い方を身につけることで、うつ病の再発を未然に防ぐことができます。心と体のバランスを整え、あなたらしい生活を送るために、認知行動療法という選択肢があることをぜひ知っておいてください。
