【保存版】性別違和(性別不合)とは?正しく理解し、誰もが自分らしく生きられる社会へ
現代社会において「性の多様性」への理解は欠かせないものとなっています。しかし、言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような困難があり、どのようなサポートが必要なのかを詳しく知る機会は少ないかもしれません。
今回は、資料に基づき「性別違和(性別不合)」の基礎知識から、周囲ができる配慮について詳しく解説します。
1. 「セクシュアリティ」を構成する4つの要素
まず、性のあり方(セクシュアリティ)は、一つの側面だけで決まるものではありません。主に以下の4つの要素の組み合わせで考えられます。
- 生物学的性(身体の性): 染色体、性腺、生殖器などにより決められる性。
- 性自認(こころの性): 自分がどの性別であるかという認識。
- 性表現(表現する性): 服装や振る舞いなどで表現する性。
- 性的指向(好きになる性): 恋愛の対象がどの性別であるか。
すべての人がこれらの要素を持っており、その捉え方は一人ひとり異なります。
2. 性別違和(性別不合)とは
性別違和(性別不合)とは、「出生時に割り当てられた性別」と「自分で実感する性別(性自認)」が一致せず、それによって強い苦痛や支障が生じている状態を指します。
- 子ども期の特徴: 「反対の性になりたい」という強い願い、反対の性に典型的な服装や遊びを好む、自分の性器を嫌うといった行動が見られることがあります。
- 青年・成人期の特徴: 身体的特徴への強い嫌悪感、実感する性別として扱われたいという強い望みが特徴です。
かつては「性同一性障害」という診断名でしたが、現在は性の多様性を病理化しないよう、ICD-11(国際疾病分類)などで「性別不合」という名称に変更され、精神疾患の分類からは外されています。
3. 当事者が抱える悩みとメンタルヘルス
性別違和を持つ方は、日常生活の中で多くの困難に直面しており、メンタルヘルスへの影響も深刻です。
- 学校・職場での悩み: 制服やトイレ、更衣室の利用、健康診断、周囲からの差別やハラスメントなど。
- 併存症のリスク: 周囲の無理解や生きづらさから、抑うつ、不安症、不登校、引きこもり、自傷行為や自殺念慮につながる割合が高いという報告もあります。
医療的なケア(ホルモン療法や手術など)だけでなく、周囲の環境を整え、当事者が安心して過ごせる場所を作ることが非常に重要です。
4. 周囲ができる「適切な対応」と配慮
周囲の人が正しく理解し、適切な対応をすることで、当事者の悩みは大きく軽減されます。

① 決めつけをしない
「身体の性」と「こころの性」は同じとは限りません。「男性だから、女性だから」という前提を捨て、多様な性のあり方を認めましょう。
- 呼称: 誰に対しても「〜さん」と呼ぶ、本人が呼ばれたい名前を確認する。
- 制服・服装: 性別によらず選択できる制度の導入や、代替案を一緒に考える。
② カミングアウトへの対応
もしカミングアウトを受けたら、まずは否定せずにじっくりと話を聞き、その思いを受け止めることが大切です。
- アウティングの禁止: 本人の同意なく、第三者にその人のセクシュアリティを伝えることは「アウティング」と呼ばれ、重大な人権侵害です。絶対に避けなければなりません。
③ 環境の工夫
トイレや更衣室など、性別で分けられる施設の利用に抵抗を感じる方がいます。
- 「だれでもトイレ」の設置や、利用時間の調整、個室の確保など、プライバシーに配慮した工夫が求められます。
5. 全ての人が「SOGI」の当事者
最後に大切なのは、「SOGI(ソジ)」という考え方です。 SOGIとは、Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)の頭文字をとった言葉です。
これは特定のマイノリティ(少数者)だけに関わることではありません。異性を好きになり、身体とこころの性が一致している人も含め、すべての人に関わる共通の概念です。
お互いの違いを認め合い、尊重し合うこと。それが、誰もが自分らしく、健やかに生きていける社会への第一歩となります。

参考文献
- 『こころの健康が見える』(メディックメディア)
