コラム

【専門家解説】パニック症の症状と対処法とは?死ぬほどの恐怖を乗り越えるためのステップ

saochil

こんにちは、さおちるです。私は看護師として精神科での勤務経験があり、現在は公認心理師としても活動しています。

現場でパニック発作に苦しむ方を何度もサポートしてきましたが、その姿は本当に苦しそうで、「このまま死んでしまうのではないか」という凄まじい恐怖の中にいらっしゃいます。

この記事では、パニック症の具体的な症状から、脳で何が起きているのかという仕組み、そして発作が起きた時の具体的な対処法まで、専門的な知見と現場の経験をもとに詳しく解説します。


1. パニック発作の主な症状と「死の恐怖」

パニック発作は、何の前触れもなく突然起こります。主な症状は以下の通りです。

身体的な症状

  • 激しい動悸・心拍数の増加
  • 息苦しさ・窒息感(過呼吸)
  • めまい・ふらつき・気が遠くなる感覚
  • 手足の震え・しびれ・発汗
  • 胸の痛みや不快感

精神的な症状

  • 「このまま死んでしまうのではないか」という強い恐怖
  • 自分が自分でなくなるような感覚(離人感)
  • コントロールを失い、どうにかなってしまうという不安

これらの症状は通常数分でピークに達し、30分以内には収まることがほとんどです。しかし、本人が感じる恐怖は命の危険を感じるほど強烈なものです。


2. なぜ起こる?脳の「誤作動」という仕組み

パニック症は「心の弱さ」や「甘え」ではありません。最新の脳科学では、脳の警報システムが誤作動を起こしている状態だと分かっています。

扁桃体(へんとうたい)の暴走

脳の中にある「扁桃体」は、不安や恐怖を司るセンサーです。パニック症の方は、このセンサーが過敏になっており、何でもない場面でも「命の危険だ!」と誤ったアラームを鳴らしてしまいます。

二酸化炭素への過敏反応

人間には、窒息を防ぐために「二酸化炭素濃度が上がると呼吸を促す」仕組みがあります。パニック症の方はこのセンサー(延髄)が非常に敏感で、わずかな変化を「窒息の危機」と誤認し、過呼吸や動悸を引き起こすという説もあります。


3. 看護師・公認心理師が教える「発作時の対処法」

私が現場でパニック発作の方をサポートする際、最も大切にしているのは「安全の確保」と「安心感の提供」です。

① 安全な場所を確保し、落ち着くまでそばにいる

まずは人混みや騒がしい場所を避け、静かな場所へ移動します。 周囲の方は、落ち着いた低い声で「大丈夫ですよ」「ここに一緒にいますからね」と声をかけ続けてください。本人は孤独な恐怖の中にいるため、誰かがそばにいるだけで安心に繋がります。

② 呼吸を整える(「吐く」を意識)

過呼吸になると、さらに苦しさが増します。

  • 鼻から3秒吸って、口から5秒かけてゆっくり吐く 「吸う」よりも「吐く」時間を長くすることで、副交感神経が刺激され、体がリラックスモードに切り替わります。

③ 五感を使う「グラウンディング」

意識を恐怖から引き剥がすために、周囲の「現実」に意識を向けます。

  • 見えるものを5つ探す(時計、椅子、窓…)
  • 聞こえる音を4つ探す(車の音、鳥の声…)
  • 触れている感触を3つ確認する(服の肌触り、椅子の硬さ…)

④ 頓服薬の活用

主治医から抗不安薬などを処方されている場合は、早めに服用することも大切です。「お守り」として持っているだけでも、予期不安を和らげる効果があります。


4. 克服に向けた治療とステップ

パニック症は、適切な治療で改善が可能な病気です。

  • 薬物療法: SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)などで、脳のセロトニンバランスを整え、扁桃体の過敏さを抑えます。
  • 認知行動療法(CBT): 「この症状で死ぬことはない」という正しい知識を学び、段階的に苦手な場所へ慣れていく(段階的曝露療法)練習をします。
  • 生活習慣の改善: カフェイン、アルコール、喫煙は交感神経を刺激し、発作を誘発しやすいため、控えることが推奨されます。

5. まとめ:一人で抱え込まないで

パニック症は、脳の仕組みが一時的に不安定になっているだけです。 「また起きたらどうしよう」という不安(予期不安)から、外出を避けるようになってしまうこともありますが、スモールステップで少しずつ安心の範囲を広げていくことができます。

もし、今の症状がパニック症かもしれないと感じたら、まずは心療内科や精神科を受診し、体の病気(甲状腺疾患など)が隠れていないか確認してもらうことから始めましょう。

パニック症は、正しく知れば怖くありません。あなたのペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。

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さおちる
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ナース
はじめまして。 現役ナースで、公認心理師の「さおちる」です。 誰にも言えない「こころの不調」を、一人で抱えていませんか? 私は12年間、看護師としてたくさんの心と体に向き合ってきました。 お薬を飲む前に「カウンセリングで自分と向き合う時間」が、回復への大きな力になります。 こころの不調は、誰にでも起こりうること。特別なことではありません。 このサイトでは、看護師と公認心理師、2つの視点から、あなたの「立ち直る力」を引き出すお手伝いをします。 認知行動療法をベースに、具体的な予防法やケアのヒントをお伝えしていきます。 もう一人で悩まないでください。 ここが、あなたの心を軽くする、最初のステップになることを願っています。
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