コラム

【保存版】睡眠薬と抗不安薬、何が違うの?精神科ナースが教える正しい知識と副作用・注意点

saochil

「眠れないから抗不安薬を飲んでいるけれど、これって睡眠薬と同じ?」

「どっちも似たようなものじゃないの?」

現場で働いていると、患者さんからよくこんな質問をいただきます。実は、私自身も看護師になったばかりの頃は、この違いがよくわかっていませんでした

今回は、知っているようで知らない「睡眠薬」と「抗不安薬」の違いについて、精神科ナースの視点でわかりやすく解説します。


1. 結論:実は「親戚」のような関係です

いきなり驚かれるかもしれませんが、実は処方されている睡眠薬と抗不安薬の多くは、どちらも「ベンゾジアゼピン系」という同じグループの薬剤です。

どちらの薬にも、大きく分けて3つの作用があります。

  1. 催眠作用:眠気を誘う
  2. 抗不安作用:不安や緊張を和らげる
  3. 筋弛緩作用:筋肉の緊張をほぐす

何で呼び方が違うの?

それは、「どの作用が強く出るか」というバランスの差で決められているからです。

  • 睡眠薬催眠作用 > 抗不安作用
  • 抗不安薬催眠作用 < 抗不安作用

つまり、不安を和らげる力が強いものを「抗不安薬(安定剤)」、眠らせる力が強いものを「睡眠薬」と呼んでいます。

さおちるのひとこと

昔は「メジャートランキライザー(抗精神病薬)」と「マイナートランキライザー(抗不安薬・睡眠薬)」なんて呼び方もされていました。これ、言葉が難しくて私もずーっとよく分かっていなかった時期がありました(笑)。


2. よく聞く「睡眠導入剤」って何?

「睡眠薬じゃなくて、軽い導入剤を飲んでいるから大丈夫」とおっしゃる方もいますが、実は睡眠薬と睡眠導入剤に本質的な違いはありません。

一般的に、寝つきを良くするための「作用時間が短いタイプ」の睡眠薬を、便宜上「導入剤」と呼んでいることが多いです。

薬のタイプ別一覧(ベンゾジアゼピン系など)

薬によって、効いている時間の長さが違います。

分類代表的な薬剤(商品名)特徴
超短時間型ハルシオン、マイスリー、アモバン寝つきが悪い人向け。
短時間型デパス、リーゼ、レンドルミン不安が強い時や、寝つきを良くしたい時。
中間・長時間型サイレース、メイラックス夜中に目が覚める、朝早く目が覚める人向け。

3. 知っておきたい「副作用」と「注意点」

どちらの薬も即効性があって便利な反面、気をつけなければならないポイントが共通しています。

① 持ち越し効果とふらつき

翌朝まで薬の影響が残り、眠気やぼーっとする感じ(持ち越し)が出ることがあります。また、筋肉を緩める作用があるため、特に高齢の方は夜中にトイレに立った際の「転倒」に注意が必要です。

② 前向性健忘

「薬を飲んだ後の記憶がない」という状態です。服用してから寝るまでの間に電話をしたり、食事をしたりしても、翌朝それを覚えていないことがあります。服用後は速やかに布団に入ることが鉄則です!

③ 依存性と離脱症状

長期間飲み続けると「これがないと不安」「効かなくなってきた(耐性)」と感じることがあります。急にやめると、反動でさらに強い不安や不眠が出る「離脱症状」が起こることも。

「自分の判断で急にやめない」。これが一番大切です。


4. 内服を始める時の3つのポイント

新しくお薬を飲み始める時は、以下の視点を持ってみてください。

  1. 最小限の容量か?(まずは少量から試しているか)
  2. 多剤併用になっていないか?(似たような薬が重なっていないか)
  3. 1週間は様子を見る(自分に合っているか、効果と副作用を評価する)

不安なことがあれば、主治医や薬剤師さんに「私にとって一番大事な薬はどれですか?」「どうなったら減らしていけますか?」と正直に聞いてみて良いのですよ。


まとめ

睡眠薬と抗不安薬は、どちらもベンゾジアゼピン系という同じ仲間であることが多く、「作用の強弱のバランス」が違うだけと言えます。

眠れないことは本当につらいですし、不眠は心身のSOSです。薬を怖がりすぎる必要はありませんが、正しく知って、正しく頼ることが大切です。

ABOUT ME
さおちる
さおちる
ナース
はじめまして。 現役ナースで、公認心理師の「さおちる」です。 誰にも言えない「こころの不調」を、一人で抱えていませんか? 私は12年間、看護師としてたくさんの心と体に向き合ってきました。 お薬を飲む前に「カウンセリングで自分と向き合う時間」が、回復への大きな力になります。 こころの不調は、誰にでも起こりうること。特別なことではありません。 このサイトでは、看護師と公認心理師、2つの視点から、あなたの「立ち直る力」を引き出すお手伝いをします。 認知行動療法をベースに、具体的な予防法やケアのヒントをお伝えしていきます。 もう一人で悩まないでください。 ここが、あなたの心を軽くする、最初のステップになることを願っています。
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