【看護師・公認心理師が解説】ストレスとの上手な付き合い方――今日からできるセルフケア5つ
「ちゃんと寝ているはずなのに、朝起きるのがつらい」
「とくに大きな出来事はないのに、なんだか涙が出てくる」
最近、こんなふうに感じている方はいませんか?
実は私自身も、看護師として働き始めた頃、理由がはっきりしないまま気持ちが沈み、朝が起きられなくなった時期がありました。当時は「自分の頑張りが足りないんだ」と責めていたのですが、あとから振り返ると、それは こころと身体がためこんだストレスのサイン だったんですね。
この記事では、看護師・公認心理師としての経験をふまえて、ストレスの正体と、今日から始められるセルフケアをお伝えしていきますね。
1.結論:ストレスのサインは「甘え」ではありません
いちばん大事なところから、先にお伝えしますね。
「最近しんどい」という感覚は、決してあなたの弱さや怠けではありません。それどころか、真面目に、一生懸命がんばってきた人ほど、ためこみやすいと言われています。
ストレスは、ある日突然やってくるわけではないんですね。日々の小さな負担がじわじわと積み重なって、気づいたときには「動けない」状態に――というのがよくあるパターンです。だからこそ、早めにサインに気づいて、こまめに手当てしてあげることが、いちばんの予防になります。

2.こんなサイン、ありませんか?【セルフチェック】
ここで、最近1〜2週間のご自身を思い出しながら、当てはまるものを見てみてくださいね。
🌙 こころのサイン
- 朝起きた瞬間から憂うつで、布団から出るのがつらい
- 仕事や好きなことへの意欲がわかず、集中できない
- ささいなことでイライラする、涙が出やすい
- 「自分はダメだ」とつい責めてしまう
- 休日も気持ちが晴れず、何をしても楽しめない
🌿 からだのサイン
- 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める
- 食欲がない、または逆に食べすぎてしまう
- 頭痛・肩こり・胃の不快感が続いている
- 疲れが取れず、だるさが抜けない
- 動悸やめまいを感じることがある
いくつ当てはまったか、よりも大切にしてほしいのは、「以前の自分と比べて、つらさが増しているか」という視点です。

看護師・公認心理師からのひとこと
これらのサインは、こころと身体が「少しペースを落としてもいいんだよ」と、あなたに送ってくれているメッセージなのかもしれません。サインに気づけたなら、それはもう、自分を大切にする第一歩を踏み出せているということですよ。
3.今日からできるセルフケア5つ
ストレスへの対処は、「がんばって治す」よりも、「整えて、回復を待つ」イメージが近いものです。厚生労働省も、職場のメンタルヘルス対策の柱として、まず セルフケア(自分自身でのケア) を挙げています。
難しいことから始める必要はまったくありません。一つずつ、ご紹介していきますね。
①起きる時間「だけ」を固定する
回復の土台は、やっぱり睡眠です。ただ「早く寝なきゃ」とプレッシャーをかけると、かえって眠れなくなることもありますよね。そこで、まずは 起きる時間だけ を一定にしてみてください。起きたらカーテンを開けて朝の光を浴びる――たったそれだけで、ずれていた体内時計が少しずつリセットされていきます。

②「60〜70%」で動き出す許可を出す
しんどいときは、最初から100%を目指さないでくださいね。「今週は60〜70%でいい」と自分に許可を出すことが、結果として回復を早めてくれます。ToDoリストの上位3つが終わったら合格。それくらいの気持ちで十分ですよ。
③「コーピング」の引き出しを増やす
コーピングとは、ストレスに対処するための 「気持ちが少しラクになる方法」 のこと。大切なのは、たくさんの引き出しを持っておくことなんですね。「散歩する」「好きな音楽を聴く」「温かいお茶を飲む」「友達にLINEする」――小さなことで構いません。調子のいいときに、自分だけのリストをスマホのメモに書き出しておくと、しんどいときの自分を助けてくれますよ。
④「4-7-8呼吸法」で、ほっと一息
気持ちが高ぶっているときや、眠れない夜にすぐ使えるのが、この呼吸法です。4秒かけて鼻から吸って、7秒止めて、8秒かけて口から吐く。これを4〜5回くり返すだけ。ポイントは、吐く息を吸う息より長くすることです。息を長く吐くと副交感神経が優位になって、身体が自然と「お休みモード」に切り替わっていきますよ。秒数はあくまで目安なので、苦しければ短くしても大丈夫です。

⑤しんどさを「言葉」にする時間をつくる
頭の中だけでぐるぐる考えていると、不安はどんどん大きく感じられてしまうものです。ノートに今日のしんどさを書き出してみる、信頼できる人に話を聞いてもらう――それだけで、気持ちが少し軽くなることがあります。SNSでの発信は反応に振り回されやすいので、まずはクローズドな場で言葉にすることをおすすめしています。
POINT
5つ全部をやろうとすると、それ自体がストレスになってしまいます。今日は「朝カーテンを開ける」だけでも十分。小さな一歩を、続けられる範囲で。それがいちばんの近道です。
4.こんな時は、一人で抱え込まないでくださいね
セルフケアを試しても、つらさが薄れていかないときがあります。精神科の現場にいる看護師としてお伝えしておきたいのですが、次のいずれかが当てはまる場合は、医療機関や相談窓口の力を借りるタイミングです。
こんなときは専門家へ
- 気分の落ち込み・不眠・無気力が2週間以上続いている
- 休日も含めて、何をしても楽しいと感じられない
- 遅刻・欠勤が増え、日常生活に支障が出ている
- 「消えてしまいたい」「いなくなりたい」という気持ちがよぎる
特に最後の項目に少しでも心当たりがあれば、どうかためらわずに専門家につながってくださいね。
「これくらいで受診していいのかな」と迷うときこそ、相談していい状態だと、私はいつもお伝えしています。早めに専門家の目で見てもらうことが、結果としていちばんの近道になることが多いんですよ。

5.まとめ:「今日もなんとかやっている」自分を、まず認めてあげてください
「最近しんどい」という感覚は、決して甘えではありません。日々をがんばってきたあなたのこころと身体が、「少し休もう」とサインを送ってくれている状態です。
今日からできるセルフケアを、もう一度まとめておきますね。
- 起きる時間だけを固定する
- 60〜70%で動き出す
- コーピングの引き出しを増やす
- 4-7-8呼吸法でほっと一息
- しんどさを言葉にする
それでもつらさが続くときは、どうか一人で抱え込まないでください。
そして最後に、ひとつだけ。
「今日もなんとかやっている」――それ自体が、もう十分すぎるほどのがんばりです。
このブログが、あなたのこころが少し軽くなる、お守りのような場所になれたら嬉しいです。

つらさを、一人で抱えていませんか
「これくらいで相談していいのかな」――その気持ちこそ、相談していいサインです。あなたのペースで、お話を聞かせてくださいね。
