「検査で異常なし」の胃痛・腰痛・動悸…その原因不明の体調不良はストレスからくる『心身症』かもしれません
「胃が痛いけれど検査では異常がない」「ずっと腰が痛くてマッサージに行っても治らない」「急に動悸がして苦しくなる」……。
病院へ行っても「どこも悪くありません」「気のせいですよ」と言われてしまい、どうしていいか分からず一人で悩んでいませんか?その不調は、心と体が密接に関係して起こる『心身症(しんしんしょう)』のサインかもしれません。
1. 心身症とは?「気のせい」ではなく「体の病気」です
心身症とは、日常生活のストレス(仕事、家庭、人間関係など)が原因で、体に明らかな症状が現れている状態を指します。
よく「メンタルの病気」と思われがちですが、心身症はあくまで「体の病気」です。ただ、その背景に心理的なストレスが深く関わっているため、薬やマッサージなどの「体へのアプローチ」だけでは、なかなか根本から改善しないという特徴があります。
2. 当てはまるものはありますか?心身症の具体的な症状
心身症は、全身のあらゆる場所に症状が現れます。検索されることが多い代表的な症状をまとめました。
- 痛みに関するもの: 慢性的な腰痛、緊張型頭痛、片頭痛、肩こり、関節痛
- お腹・喉の違和感: 胃痛、吐き気、下痢・便秘(過敏性腸症候群)、喉のつかえ感
- 循環器・呼吸の乱れ: 動悸、息苦しさ、めまい、血圧の上昇
- 皮膚・その他の不調: 慢性的なじんましん、かゆみ、円形脱毛症、微熱、異常な倦怠感
「日によって痛む場所が変わる」「ストレスを感じると悪化する」「休日は少し楽になる」といった傾向がある場合は、特に心身症の可能性が高いと言えます。

3. 【事例】対症療法で治らなかった「腰痛」が楽になった理由
私が看護師・公認心理師として関わった患者さんの中に、長年の慢性腰痛に悩む方がいらっしゃいました。
その方は、何軒も病院を回り、湿布や痛み止め、マッサージといった「対症療法」を続けてきましたが、一時的に楽になってもすぐに痛みがぶり返してしまう状態でした。
詳しくお話を伺うと、職場での過度な責任感や、周囲に頼れず「自分が頑張らなければ」という強いプレッシャーを抱えていたことが分かりました。そこで、体の治療と並行して、ご自身の考え方の癖やストレスケアに焦点を当てたカウンセリングを行いました。
すると、あんなに頑固だった腰痛が、少しずつ、そして確実に楽になっていったのです。
このケースのように、「体からのSOS」の理由を紐解いていくことが、改善への大きな一歩になります。
4. なぜ「心」の負担が「体」に現れるのか
私たちの体には、自律神経やホルモンバランスを調整する機能がありますが、過度なストレスがかかるとそのバランスが崩れてしまいます。
特に、「自分のストレスに無自覚な人」や「感情を抑え込んでしまう人」ほど、心で処理しきれなくなった負担が、痛みや不調という形で体に現れやすくなります。体は、痛みを通じて「もう限界だよ、休んで」とあなたに伝えようとしているのです。
5. 改善へのヒント:体と心を同時にケアする
心身症のケアには、どちらか一方ではなく「両面からのアプローチ」が効果的です。
- 「つらい」という事実を認める: 検査で異常がなくても、痛みや不快感は本物です。「気のせい」と片付けず、まずは自分の状態を否定しないことから始めましょう。
- 専門家の力を借りる: 心療内科やカウンセリングでは、お薬で今の苦しさを和らげながら、根本にあるストレス要因を一緒に整理していきます。
- 小さな「まあ、いっか」を増やす: 完璧を目指しすぎず、少しだけ自分を緩める時間を作ってみてください。

最後に
「どこに相談すればいいか分からない不調」こそ、私たち専門職を頼ってください。 心と体はつながっています。あなたが抱えているその重荷を少しずつ下ろして、体が本来の健やかさを取り戻せるよう、一緒に考えていきましょう。
