【看護師・公認心理師が解説】「お盆の帰省がゆううつ…」実家に帰るのがしんどいときの心の守り方
「実家に帰るのが、正直しんどい」
「楽しみにしている家族に、そう言えない」
こんなふうに感じている方はいませんか?
実は私も、「親孝行しなければ」という理由だけで帰省していた時期があります。
定期的に顔を見せたほうがいいのでは——そんな思い込みに、ずっと縛られていました。
この記事では、帰省がしんどくなる理由と、こころを守りながら過ごす工夫をお伝えします。
1. 結論:あなたを疲れさせているのは、家族ではありません
いきなり大事なところからお伝えします。
あなたを疲れさせているのは、家族そのものではなく「こうすべき」という思い込みかもしれません。
親孝行しなければ。定期的に顔を見せなければ。いい娘・いい息子でいなければ。
その「べき」を抱えたまま帰るから、気を張ってしまう。
そして、気を張った分だけ疲れます。
家族を大切に思っていないわけではないと、まず自分に伝えてあげてください。

2. こんな気持ち、ありませんか?【セルフチェック】
帰省の予定を思い浮かべて、チェックしてみてください。
- 日程が決まったときから、気持ちが重くなった
- 「いつ帰るの」と聞かれるのが少し怖い
- 実家では、自分が子どものころの役割に戻ってしまう
- 仕事・結婚・子どものことを聞かれるのが、しんどい
- 帰ったあと、数日ぐったりして動けない
2つ以上当てはまるなら、あなたにとって帰省は「休み」ではなく「気を使う時間」になっているのかもしれません。

3. なぜ実家に帰るとしんどくなるの?
理由は大きく3つあります。
1つ目は、昔の役割に戻されてしまうことです。
大人になって自分のペースをつくったのに、実家では「子ども」に戻ってしまう。
親から見た自分と、今の自分がずれている。
そのずれが、こころの負担になります。
2つ目は、距離が近すぎることです。
実家には、自分ひとりになれる場所がないことが多いですよね。
朝から夜まで誰かと一緒にいる状態は、それだけで消耗します。
3つ目は、比べられる場面が増えることです。
親戚が集まると、話題は仕事や結婚、子どものことになりがちです。
悪気がなくても、比べられていると感じる瞬間があります。
刺激に敏感で疲れやすいと感じる方は、こちらの記事も参考になるかもしれません。
▶ 【公認心理師が解説】「人間関係に疲れた…」HSP(繊細さん)の生きづらさを手放すヒント
4. 義実家への帰省は、もっと気を使うものです
同僚から、義実家への帰省がゆううつだという話を聞くことは少なくありません。
自分の実家ならできる「ちょっと出てくるね」が、義実家では言いにくい。
手伝うべきか、座っているべきかも迷う。
気を使う相手の家で「くつろいでね」と言われることほど、難しいものはありません。
義実家の帰省がしんどいのは、あなたの性格の問題ではありません。
役割も距離感も定まっていない場所に、数日いるからです。
この記事の工夫は、義実家への帰省にもそのまま使えます。
5. 帰省を少し楽にする5つの工夫
先に、私が一番大事だと感じていることをお伝えします。
①の「いい娘・いい息子でいなければ」を手放すこと。これがいちばん効きます。
残りの4つは、そのための具体的な方法だと思ってください。
① 「いい娘・いい息子でいなければ」を手放す
いちばん難しいのが、これです。
期待に応えようとするほど、疲れは増えていきます。
私自身、子どもへの「期待」を手放したことで、人との関係が楽になった経験があります。
同じことが、親との関係にも言えます。
▶ 「怒りが抑えられないのは病気?」イライラをコントロールできない症状と、私が「期待」を手放した理由
② 滞在時間を、先に決めて伝えておく
「2泊3日で帰るね」と、早めに伝えておく。
滞在中に切り出すより、ずっと角が立ちません。
終わりが見えているだけで、人は耐えやすくなります。
③ 「逃げ場」を用意しておく
散歩、コンビニ、近くのカフェ。
30分ひとりになれる場所を、あらかじめ決めておいてください。
「ちょっと出てくるね」は、失礼ではありません。
④ 聞かれたくない質問への返しを、用意しておく
その場で考えるから苦しくなります。
「まだ考え中」「そのうち」で十分です。
ちゃんと答えなくていい、と自分に許可を出しておいてください。
⑤ 帰ったあとに「回復する日」をつくる
帰省の翌日に予定を入れないでください。
帰省は、休暇ではなく行事です。
疲れて当たり前。回復の時間まで含めて、はじめて休みになります。

6. 「帰らない」という選択もあります
看護師としてお伝えしておきたいのですが、心身の状態によっては、帰らないほうがいい年もあります。
体調がよくないとき。気分の落ち込みが続いているとき。
そんなときは、無理に合わせなくて大丈夫です。
「今年は仕事の都合で」と伝えるだけで十分です。
すべてを説明する義務は、誰にもありません。
自分を守るための欠席は、逃げではありません。
7. こんなときは、一人で抱え込まないでください
公認心理師としてお伝えしておきたいのですが、次のような状態が続くときは、帰省のストレスだけではないかもしれません。
- 気分の落ち込みや不眠が2週間以上続いている
- 帰省のことを考えると、動悸や涙が出る
- 家族と会ったあと、自分を責める気持ちが強くなる
- 過去のつらい記憶がくり返し思い出される
「この程度で相談していいのかな」と迷うときこそ、相談していい状態です。
かかりつけ医や、お住まいの自治体の相談窓口を頼ってみてください。

8. まとめ:「べき」を手放すと、少し楽になります
最後に、要点をまとめますね。
- 疲れさせているのは家族ではなく「こうすべき」という思い込み
- 昔の役割に戻される・距離が近い・比べられる、が主な理由
- いちばん効くのは「いい娘・いい息子でいなければ」を手放すこと
- 帰省は休暇ではなく行事。回復する日まで含めて計画する
- 体調によっては「帰らない」も、正しい選択
うまく振る舞えなくても大丈夫です。
同じ屋根の下で数日過ごすことは、それ自体がなかなかの仕事です。
帰ってきたら、まず自分に「おつかれさま」と言ってあげてくださいね。
